名古屋地方裁判所 平成2年(わ)1116号 判決 1990年10月29日
国籍
韓国(慶尚南道昌原郡鎭田面五西里五九九)
住居
名古屋市南区浜田町二丁目三二番地の一
会社役員
村上忠雄こと
朴龍達
一九四六年一〇月一五日生
右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官松村玲子出席の上審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人を懲役一年六月及び罰金二五〇〇万円に処する。
右罰金を完納できないときは金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
この裁判の確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、名古屋市南区元塩町三丁目二番地において、村上企業の名称で建設請負業を営んでいたものであるが、所得税の支払いを免れようと企て、所得税の確定申告に際し、適宜の過少な所得金額を計上するなどの方法により所得の一部を秘匿した上、
第一 昭和六一年一月一日から同年一二月三一日までにおける総所得金額が六五三四万二四一八円であつたにもかかわらず、同六二年三月一三日、名古屋市熱田区花表町七番一七号所在の熱田税務署において、同税務署長に対し、前記六一年分の総所得金額が一七一五万七六三五円で、これに対する所得税額が四六六万七〇〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により、同年分の正規の所得税額三三二六万三八〇〇円との差額二八五九万六八〇〇円を免れ、
第二 昭和六二年一月一日から同年一二月三一日までにおける総所得金額が八四七四万六八五六円であつたにもかかわらず、同六三年三月一五日、前記熱田税務署において、同税務署長に対し、同六二年分の総所得金額が二五〇〇万三五六九円で、これに対する所得税額が八四七万八〇〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により、同年分の正規の所得税額四二二三万一五〇〇円との差額三三七五万三五〇〇円を免れ、
第三 昭和六三年一月一日から同年一二月三一日までにおける総所得金額が一億二二〇一万九二五七円であつたにもかかわらず、平成元年三月一四日、前記熱田税務署において、同税務署長に対し、同六三年分の総所得金額が三〇三一万六一七六円で、これに対する所得税額が九七四万一五〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により、同年分の正規の所得税額六一七七万七八〇〇円との差額五二〇三万六三〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示事実全部について
一 被告人の当公判廷における各供述
一 被告人の検察官及び検察事務官(二通)に対する各供述調書並びに大蔵事務官に対する質問てん末書七通
一 李廣一の検察官に対する供述調書及び大蔵事務官に対する質問てん末書三通
一 李泰子の検察官に対する供述調書及び大蔵事務官に対する質問てん末書一八通
一 大蔵事務官作成の査察官調査書三三通
一 大蔵事務官作成の写真撮影報告書三通
同第一の事実について
一 大蔵事務官作成の平成二年二月一三日付け証明書三通及び同月一四日付け脱税額計算書(いずれも判示第一記載の事実に関するもの)
同第二の事実について
一 大蔵事務官作成の同月一三日付け証明書三通及び同月一四日付け脱税額計算書(いずれも判示第二記載の事実に関するもの)
同第三の事実について
一 大蔵事務官作成の同月一三日付け証明書三通及び同月一四日付け脱税額計算書(いずれも判示第三記載の事実に関するもの)
(法令の適用)
一 判示各所為 いずれも所得税法二三八条
一 刑種の選択 所定刑中いずれも懲役刑及び罰金刑選択
一 併合罪加重 刑法四五条前段、四七条、一〇条、四八条
(懲役刑につき犯情の最も重い判示第三の罪の刑に加重)
一 労役場留置 同法一八条
一 刑執行猶予 同法二五条一項
よつて、主文のとおり判決する。
(裁判官 伊藤新一郎)